拗らせ女子に 王子様の口づけを
戸惑う気持ちを持ったまま、それでもいいと三矢は言う。
どうしたらいいんだろう。

三矢に対して好きだという気持ちはあるが、それはやっぱり同期として、仲間としての気持ちしかなくて。

今まで奏ちゃんしか見てこなかったから、奏ちゃんに誤解されたくない一心で異性との付き合いを友達ですらしてこなかった。
だけど社会に入ったらそうはいかない。
だから三矢は初めて出来た異性の友達だった。

その三矢からの告白。
『今はそうかもしれない。だけど、ちゃんと俺を男として見てほしい。頼むから俺を知ってほしい。答えはそれからだ』

その三矢の気持ちは痛いほどよく分かってしまう。

分かるからこそどうしたらいいのか分からない。

私は今でも奏ちゃんが好きだ。
奏ちゃんに本当ならもっと違った形で告白して、私を一人の女の子として見てほしかった。
返事はそれからでいいから。
と、願っていたんだ。

三矢の願いは丸ごと私の願いでもあったんだ。

だけど、奏ちゃんは考えることもせず私の気持ちを切り捨てた。

今私が三矢に対して考えられないからと断ることは、奏ちゃんが私にしたことと同じことになるんじゃないだろうか……。
< 125 / 162 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop