拗らせ女子に 王子様の口づけを
「さっきの沙織の同期だっけ?あいつ沙織の事好きなの?全く気づかれてなさそうだけど」
沙織鈍いからなぁ可哀想に。
ケラケラ笑う野々宮に、お前もだよ!と全員が思った。
「早川は、お嫁さんにしたいナンバーワンらしいぞ?」
ずっと静かに話を聞いていた高宮が話を戻す。
「あの見た目もあるが、おっさんらの話も嫌な顔せず聞くからな、企業相手の特販メンバーの重鎮辺りも可愛がってるぞ」
「へぇ。ここの特販メンバーと言えば、吉田部長あたりか?あの人に気に入られるなんて凄いな」
「おじさん連中の好きそうな、清純タイプだからな。仕事も出来て、おっさんの冗談もうまく聞けて交わせるからな、よく紹介やなんや言われてるみたいだぞ。だけど、基本全員参加のようなものしか飲み会も出ないし、帰りも隙がなくてな、絶対誰かが迎えに来てるみたいだから、上からの紹介もスムーズに断られてるらしい」
「高宮………お前よく知ってるな?」
迎え?沙織が?
「あほか、こんなん基本情報だ。それだけ早川のガードが固いって事だろ。だから、お前をあっさり誘ったりしたから、ビックリしたんだろ」
朝の注目は沙織に集まってたのか。
「野々宮、多分朝の事はあっという間に回ってるだろうから、上からも色々聞かれると思うぞ、まぁ頑張れ」
同期の面々から慰めの視線が送られた。