拗らせ女子に 王子様の口づけを

午後の準備があると先に席を立つ沙織。
もっとゆっくり話したかったから、今日の夜に約束を取り付けた。
嬉しそうに笑って、

「連絡して」

と、出ていった。

沙織の後を追いかける三矢が視界に入る。


「ちょっ、野々宮!沙織ちゃんが言ってたの本当?」


守屋が興奮して声を荒げて、

「瑞希!声大きい!」

シーッ、シーッ、と本田が宥める。

俺達のいつもの会話に周りがビックリするのもいつもの事だ。


「何が?あっ、沙織が癒し系って本当?」


小さいしな。
見た目だけでも小動物みたいだもんな。
ククッと、笑って守屋を見る。


「沙織ちゃんが野々宮の事を好きって」

「あぁ。それね。もういつから言われてんだか分からんほど昔から好き好き言われてるからなー。可愛い妹だよ」

クスリと笑って昔を思い出す。
そういや、いつ奏兄ちゃんから奏ちゃんに変わった?サオに奏兄ちゃんって言われるの結構好きだったのにな。


「野々宮………それってさぁ、、、」


ムギュっと柴崎に口を塞がれている。

「瑞希!駄目よ野々宮が気づかなきゃ!」

守屋にしか聞こえないであろう小さい声で何かを言われ、柴崎に怒られている。
そうね、とため息が出ていた。
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