拗らせ女子に 王子様の口づけを
「おぅ。コレも渡しとくわ。俺の名刺な」
フランクすぎる話し方なのに、社会人としての行儀よい格好で名刺の受け渡しをし、その場はとりあえず、切り上げた。
私もお見送りのお礼をし、頭を再び下げた。
「それでは、今日はありがとうございました。又宜しくお願いします」
秦野さんも私に向き直り、
「こちらこそ。宜しくお願いします」
と、エントランスを出ていった。
奏輔と二人並んでエレベーターへ踵を返す。
「知り合いだったのね?」
隣に並んでエレベーターを待つ
「あ?あ、あぁ。高校の同級生」
「ふぅーん。じゃあ私の先輩でもあるんだ」
「そうなるな」
「それだけ?」
「何が?」
「…………元カノ、でしょ?」
やってきたエレベーターは他に乗る人もおらず、話を聞かれることもなく上にあがる。
「……知ってたのか?」
「…………あんなにいっぱい彼女が居たくせに、知ってるわけないじゃない。かまかけただけよ」