Five seconds ー恋が始まる5秒前ー




「か、帰ります」


バックを持ってとっさに立ち上がった。



私にできることはそれだけだった。



「そうですか。また来週」



残酷な呪文のように繰り返されるまた来週の一言。



それでいて優しい言葉に、私は私がしたことの罪の大きさを知る。



暗黙の了解を破ったこの口が憎いと思った。




「はい。来週」




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