知らない彼が襲いにきます
出会い
その出会いは、私が街へ出て酒屋の店主にアドバイスをもらった時から約一週間が経った日の出来事だ。


馬車で三日の距離は無理だが、比較的近い高級宿に聞き込みに行こうとした晩のこと。


いつものようにフードをかぶって顔を隠そうとしていると、私は、ポンポンと後ろから何者かに肩を叩かれた。



「エヴァン……?」



彼のことを考えていた私は、とっさにその名を呼んで振り向く。


しかし、そこに立っていたのは自分が見たこともない男性だった。



「……っ」



一体どこから侵入してきたのか。


叫ぼうとした私の口をその男性はやんわりと塞ぎ、人差し指を唇に当てて微笑んだ。


「声は出すな」と言っているようだ。


――出そうにも出せない。


間近で見るその男性が、あまりにも美しかったから。
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