知らない彼が襲いにきます
「ようこそ、リリアーヌ様!」


マクレガー邸では、やはり大勢の周辺住民たちが人だかりを作っていた。


ひどい雨が降っているにも関わらず、みんな濡れるのも気にしないで私に手を振っている。


その様子を見て、マクレガー子爵という人はよほど住人たちに愛されているのだろうと私は理解した。


嫌われ者であれば、彼の結婚に人々がこんなにも興味を持つはずがない。


私はほっと胸をなでおろした。


彼のことを好きになることはできないかもしれないが、父と一緒に屋敷にいた頃よりはましな生活ができるだろう。



「待っていたよ、リリアーヌ」


人ごみの輪の中から、恰幅のよい男性が歩いてきてにこやかな顔で馬車の前に立ち止まった。


馬車から降りると、彼は私の手をとって優しくエスコートしてくれる。
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