知らない彼が襲いにきます
絶望
私に与えられたのは、屋敷の本館からやや離れた西塔の最上階にある部屋。


いや、部屋というよりは牢獄と呼んだほうが正しいかもしれない。


石造りのその塔の窓には鉄格子がはめられていて、後に聞いた話ではかつて屋敷に侵入した不審者を捕らえるために作られた部屋なのだという。


私はその部屋で身ぐるみをはがされ、麻布に穴を開けただけの服をかぶせられた。


彼にとっては古着のワンピースすら、私が身につけるのはおこがましいことなのだろう。



「今日からお前の部屋はここだ。そしてお前の仕事は豚小屋の掃除だ」



みすぼらしい姿の私を見て彼が嘲笑する。



「わかったら早く豚小屋へ行け!」



私は髪の毛をつかまれながら、その部屋から引きずり出された。
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