苦しくて、愛おしくて




「でさ、その池田くんその後彩花の席に来て「一緒にお弁当食べよ」って誘ったりしちゃってね」

「んー…」

「彩花顔真っ赤にしながら「…うん」って、可愛くない?! 可愛すぎない?!」

「どーした、最近テンション高いね」

「えーそうかな、でもそうかも。
今のクラスすごく楽しいし」


凛はジャンプを読みながら「それは良かったな」と心のこもってない相槌を打つ。

受験も終わり、いつものように凛の部屋に入り浸っている私は、ゴロゴロと寝返りを繰り返す。


「凛はどうなの? クラス」

「別に」

「楽しい?」

「普通」


話す気ないって感じだ。

凛だって私ぐらい話してくれてもいいのに、とも思うけど、まぁ話すことがないってことは上手くいっている証拠なんだろうな。


バスケ部に入部した凛は、帰りも一段と遅くなった。


おかげで自然と私のバイトの上がりと凛の帰りの時間が被るようになり、2人で夜道を帰宅することが増えていた。




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