苦しくて、愛おしくて



「ぅ、いた」

「そろそろ自覚が必要だよ、奈央」

「……」


額をさすっていた手をゆっくりと下ろした。

遥は真剣な顔で、見上げる私を見つめる。


「奈央と凛くんは、付き合ってない男女の距離感としては、かなり近過ぎると思う」

「それは、ダメなことなの?」

「お互いが何にも思ってないならそれでもいいのかもしれないけれど…でもさ…」


遥は切なそうな表情を隠すように、遠くを見つめる。

私は思わず、ギュッと拳を強く握った。







「どっちかが恋愛感情を持ったらそんなの、いつか絶対崩壊するよ」







そんな悲しい言葉に“絶対”は、つけてほしくなかった。







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