苦しくて、愛おしくて





「無理だよここ来たら
反射的に横になっちゃうもん」

「ダメ」

「なんで?!」

「お前が女だから」


凛は、最近ちょっとずつ私に警告してくるようになった。


私は女で、凛は男なんだと。

そういうのに気付きたくなくて、その度に私は眼を伏せる。









「それは聞き入れるべきことでしょ」

「えー。でもさぁ」

「てかなに。なんで膝枕してんの、わたし」

「だって会うの久々だから」


擦り寄りたくなっちゃった、と笑って遥のお腹に顔を押し付けると「パンツ見えるよ」なんて冷静につっこまれた。


遥とは、クラスが離れてから会う機会が目に見えて減ってしまったけれど、それでもやっぱりこの人の隣は他のどの女子よりも居心地がいい。


「凛くんももう高校生だよ? アンタどうせスカートのままベット上がって寝返りしたでしょ」

「え、こわ。なんで分かるの」

「…あーあ、凛くんも大変だこりゃ」


遥は私の額をペシリと叩く。



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