苦しくて、愛おしくて





中学に上がると、急に凛はモテだした。

でも私は、凛がいずれモテることはどこかで予想していたと思う。凛が小学生の頃から既に整った顔立ちをしていたのは確かで、中学に上がり骨格がシュッとシャープになり始めた。



モテる人は、どこにいても視線を集める。

2学年も年が上の私と一緒にいると、特にそうだった。


「……りん、ごめんね」

「なにが」


ある日、凛の部屋のベットで布団にくるまって仮眠を取っていたとき

ベットを背もたれにして、ジャンプを読む凛の後頭部をめがけて謝った。


「私ね、思った以上に傷が深いみたい。

凛なのに、絶対そんなの有り得ないのに、先輩と同じことを凛にされたらどうしよって、かんがえたりした、」


「……」


くるり、と凛がこっちを向くから

ずいぶん至近距離で目と目があった。



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