苦しくて、愛おしくて




結構ひどいことを言った自覚はあったのに

あのときの凛は、いつも以上に優しい眼差しで私を見つめて。


「いいよ、その度俺が行動で示すから。

奈央の傷が癒えるまで何度でも、そんなことしないって」


なんだか泣きたくなるようなことを素で言ったよね。



「……私の心は洗濯機ないから、泥でもしつこいよ…」

「そんな雑に洗わない」

「……ありがと、」


いつしか癖になった頭ポンポン。

最初は「ガキだと思ってバカにしてんの?」なんて騒いでた凛も、今は大人しくそれを受け入れてくれるようになった。


どうしたってこの人の隣以上に温かい場所なんて、ないと思った。


だからこそ私は、この隣を何があっても失いたくないと、無意識に心の底から願ってしまったんだ。



< 24 / 113 >

この作品をシェア

pagetop