苦しくて、愛おしくて



「まあいきなりだし、要らないんなら貰わなくてもいーよ」

「いる」

テーブルに依然として置かれたルーズリーフを取り上げようとすれば、パッとそれを阻止される。

なんだ、いるんじゃん。

「じゃ、もっと嬉しそうな顔して」

「嬉しそうな顔の前にコレ有効期限どうなってんの?」

有効期限? そんなの考えもしなかったや。

「んーー3回分のお願い事でしょ?」

それって割と私もリスク伴うしなあ。

「じゃ1週…「無期限な」

対して嬉しくなさそうな顔してたくせに、こういうときちゃっかりしてんな…。

「まあいーよ別に。3回分なら」

「よし。ありがと」

お礼を言うや否や丁寧にそれを折りたたんで財布にしまわれる。


そんな凛の姿を私は頬杖をつきながら、彼が私にどんなお願い事をするのか想像してみる。


「……」


あんまり良い使われ方はしなさそうだ。






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