苦しくて、愛おしくて



「まあ食べてく気満々だったけど」

「だろうな。奈央の入ってるし」

そう言いながらアメリカンドックを渡される。

さすが、分かってんじゃん。


私の好物の1つであるアメリカンドッグ。

凛には肉まんを選んだ。


「よく飽きねーな」

「いうほど食べてないよ」


ベットを背もたれにして座ると、机から立ち上がった凛が一個分の距離を開けて隣に座る。


「勉強疲れる?」

「…つかれる」

「おつかれ」


ぐだあ、と後ろのベットに後頭部を垂れる凛は、たしかに相当疲れているようだった。

受験って大変だもんね。

アメリカンドッグの生地を頬張りながら、ポンポンと凛の頭を撫でて労う。


「…てかコレ、奈央が受験の時しょっちゅう食った」

「あーね、だって深夜ってお腹減ってくるから」


ストレスが溜まるとすぐ凛を呼び出して、真冬の寒い中歩いて5分のコンビニに何度も通ったっけか。



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