夜明け前に灯を
しがみつく過去

でも僕がそんなからかいを対して気にせずいられるのには訳があった。
あれは確か卒園式の前日だったかな。
幼なじみの明(あかり)が言ったんだ。
「私、お星様って好きよ。だから私ね、大きくなったら優星くんのお嫁さんになるの!」
ほんの5歳のませた女の子の台詞だ。
多分本人ももう覚えていないだろうし、僕が中3にもなってその一言を拠り所にしてるなんて言ったらバカにされるから誰にも言わないだけ。
今日も僕は授業後の図書室でテスト勉強をしながら、それを知らずして帰る2人を見つめていた。
暁のチームのマネージャーをしている明はやっぱり人気者で、2人は毎日一緒に帰っていた。
付き合っているとかいないとか噂されているけど、こんなに近くにいながら確かめることすらできない僕は、この窓を特等席みたいにして、運動場を横切る2人をただぼーっと見つめていた。
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