夜明け前に灯を
ここでもまた

お花見もいつも3人で、だけど気を利かせて飲み物買ってくるよと言う明に、重い荷物を持たす訳にいかないと平然とかっこいい言葉を言ってのけて付いて行くのは暁で、僕はいつも席番。
花火大会もまた似たようなもので、お目当てを見つけると子どものように走って行ってしまう明を追いかけてちゃんと屋台で奢ってあげるのは暁で、僕は席番。
体育大会も明は執行委員会に毎回立候補し、暁は応援団長、そして補欠の僕。
雪の降った寒い日に自分のマフラーを当たり前のように明に巻いてあげれる暁と、明のためにあたためておいたカイロを渡せずに自分のポケットが温まったままの僕。
バレンタインデーのお返しにきちんと手作りのクッキーを手渡しするのが暁なら、唯一知っている明の好物の黄桃缶をロッカーに入れとくのが精一杯の僕。
なにより致命的なのは、明は僕を優星くんと呼び、暁のことは暁と呼ぶ。
考えるほど、冴えてない。
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