愛は尊い


操のお父さんは
まだ社長職ではなく
操のお爺さんがいた頃

操のお父さんは
仕事に没頭するあまり
だんだん、日本から海外にいる時間の方が長くなっていき
操さんとの距離も空いてしまったと、

操さんのお爺さんは
そんな操さんを不憫に思い
勝田さんを母親代わりにと
世話をさせていたという

けど操さんは
どんなに勝田さんがお世話をしても
心を開くことはなく
次第に言葉も少なくなっていった



「操と顔を合わせても、会話すらしなくなった。それに気がついたのは、操が高校受験を迎える年だった」


操さんのお父さんは
昔を懐かしむような、
でも、とても悲しい顔をしている


「このままじゃ、ダメだと思った。だから教員免許を持っていた友人の紹介で、果歩に操の家庭教師を依頼したんだ」


受験もあったから、と付け足した


< 130 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop