明日を見て 〜頑張れ、横山!〜
「……泣かないわよ、別にもう。」

「うん。」

「……ただ。」

「うん?」

「私の前の男が、そうだったのよ。

同期と結婚するって奴ね。その同期の子が、元カノで、その子が彼氏と別れて、そのままそっちに行ったっていうだけよ。私といる時は結婚なんてまだまだって感じだったのにさ!それで、そのまま結婚だって。笑っちゃうわ!!」

はは。また、阿修羅かよ。

でも、俺が隣にいて、俺の
目を見て話てるのに、瑠花さんの心はきっと……

「うん。」

「何よ?」

「いや、笑っちゃうね?って。同意だけど?」

「辰巳、ウザイ。」



「でも、好きになってきてる?」

「……はぁ?」

「少なくても今、俺とその、元カレ被らせてんだろ?」

「何、言ってんのよ。」



「はは。嘘、違うよな。反対、だよな。俺見て、その元カレ思い出してまた泣きそう?」

「……。」


「……いいね。」

「辰巳……?」


「俺さ。昨日、瑠花さんが、本当にやばい程、可愛く見えたんだよ。綺麗で、可愛くてさ。

泣き顔もねだる顔も全部隣で、見てさ、本当に俺の隣で、この先もその顔がみたいって、そー思ってたんだよ。」

「でも、その顔させてんの、俺じゃ、なかった訳だ。俺に抱かれながら、瑠花さんは、そいつを思い出してただけ、か。」

「……。」

「ごめんね、も、それ?意味。いいな、そいつ。普通に羨ましいわ。」


本当にそー思った。
羨ましい。
この人の心に、こんなにも残る事が出来る、見た事もない、その元カレに、昨日あったばかりの俺が、嫉妬で狂いそうだよ?


「辰巳……。」

「瑠花さん、いいよ。年下だからとかじゃなく、好きな奴が忘れらんないからって、ちゃんと振れよ。」
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