明日を見て 〜頑張れ、横山!〜
金曜日。

私はパソコンの前で、イライラしながらキーボードを叩く。

終わんない。

終わんない。

終わんないっての!!!



四半期決算も終わって少しはラクな筈なのに!なんで、こんなんになってんのよ、そんなイライラしている私の後から

「東城さん、終わらなそう?」

同じ経理部の癒し系おじさんの石田さん、3人の子持ち。

「石田さーん。終わりが見えないです……もう上がられるんですか?」

「いや、僕もまだ無理そうだね。」

「お疲れ様です。金曜日位早く帰ってお子様の顔とか見たいですよね。」

「はは。もうそんな年じゃないからね。一番下も高校生だ。東城さん、まだ続きやるなら、下でなんか買っておいで。お弁当とかなくなるからね、外の空気吸えば少し和らぐよ。」

そう言って私の後を通り過ぎて、
部長席へ向かう。

聞こえているか、わからないがとりあえず、



「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせて。」

そう言って、会社の下、
というか前にあるコンビニへ向かう事にした。

はぁー。石田さんとかいいよねー。
外見パンダみたいだけど(笑)

疲れ度がマックスにくると、人間やっぱり癒しに走るのかなー……とか思いながら、エレベーターの下りボタンを押す。

開いたエレベーターの中は結構な人。

上で会議でもやってたのか、
営業畑らしき人達で埋まっているエレベーター。

特に周りも気にせず、
手前側に乗り込み、1階ロビーで降りた。

そのままコンビニに入る手前で、


「瑠花……。」

……こんな会社前の、人が多くいる所で、
名前呼びとか……ないわ。

と言っても隣にわざわざ来て、
小声で、呼ばれた訳だから、

誰も聞こえないだろう。



横に立っている人を見上げれば、
はぁ。やっぱり。

「山下さん。ご無沙汰していますね。」

営業部の元カレだった。
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