【短編集】その玉手箱は食べれません


「だめだなぁ~廊下を汚しちゃあ~」
僕は近づき、目を皿のようにさせて宮西さんを探す。

廊下の柱の陰、ゴミ箱の陰などから人の気配がしない。

隠れる場所は理科準備室しか残されていないようだ。

宮西さんが震えながら机の下などの物陰に身を潜めている姿が目に浮かぶ。

「罰としてプール掃除してもらおうかな」
佐竹君の死体を見て発狂する宮西さんの表情を連想する。

愉悦したくてたまらない。

理科準備津のドアに手をかけようとしたとき、足がとまった。

いや前に進めない。

だ、誰かに足首を掴まれている?!

「うわぁ~」
バケツからこぼれた小さな水たまりの水面から、細い腕が伸びて僕の足首をがっちり掴んでいた。

見覚えがある腕だった。

赤い線で幾何学模様が描かれている。

「さ、さ……」
腕の持ち主である人物の名前を告げる暇なく、僕は水たまりの中へ引き込まれ、チャッポンという虚しい水面を弾く音だけが残された。
                                      〈了〉

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