(仮)センセイに恋の法律相談
私たちは1階を事務所、2階と3階が居住スペースになっている、三角地の3階建のビルで、同棲(哲オジサンにはシェアだと言われている)しているのだ。

2階にはキッチン、風呂、リビングの共用スペースとオジサンの寝室、3階には私の寝室とたくさんの本が閉まってある、図書倉庫みたいな部屋。


哲オジサンこと霧生哲生(33歳 独身)は、うちの『甲斐法律事務所』のボス弁、つまり経営者だ。

7年前まではお父さんがやっていたこの事務所を、当時新人で、お父さんの下でイソ弁をやっていた哲オジサンが引き継いだ形になっている___


暮らし始めた時からのキマリで、家事は2人の当番制。


今日は私が夕食担当だ。
怒りも露にイライラと、本日のメインディッシュ、酢豚を作るべく、私はニンジンを乱切っていた。

何よ、オジサンのばーか!
昨夜は私をフッといて、
30分間で5000円、一体何の相談してんのさ。

どうせまた、お金にもならない厄介事を、まともに聞いてやってるんでしょう。
そんなんだからうちはいつまでたっても貧乏で…

まあ…でもそこがまたオジサンのいいとこなんだけど……

ニヒャッと頬を緩めた瞬間。

「……っつ」

シマッタ。

指先がカッと熱くなり、まな板に血がポタリと落ちた。

考え事ばかりしていて、手元が狂ってしまったようだ。


切ってしまった人指し指を押さえていたところに、
トン、トンとダルそうなオジサンの足音が聞こえた。
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