待ち合わせはあのカフェで



「なんか、本当すいません。我儘に付き合わせてしまって」

「いえいえ、気にしないでください」



いつも以上に話をして、話題が尽きたのか沈黙が続いた。
今聞いておかないと後悔する事、なんかないかな…

ひたすら、一人で考えていればマンションの下。



「じゃあ、またお店で」

「はい。あの、神谷さん」

「はい」

「もう一つだけ、我儘言ってもいいですか?」



ドキドキ、心臓の音だけがうるさい。



「…連絡先、交換してくれませんか?」



断られたらどうしよう。
すごく、怖かった。



「それ、我儘じゃないですよ。連絡先、交換しましょ」

「ありがとうございます」



神谷さんが笑って了承してくれた事が嬉しかった。
うるさかった心臓が、少し落ち着いてきた。

これでいつでも連絡取れる。



「ありがとうございます」

「いえいえ、忙しいと返信するの遅れちゃったりするんですけど落ち込んだりしないで下さいね」

「はい、気にしないんで大丈夫です。では、お店で!」



軽くお辞儀をしてから神谷さんに背を向ける。
たくさん話して、ケーキもらって、家が近くて、連絡先交換して。

ふと後ろを振り返れば、まだ神谷さんが中に入ってなくて手を振られる。
立ち止まって手を振り返せば、神谷さんもまた手を振って。


これからある校内オーディションも頑張れそうだし
今度は友達になる事できるかな?
店員と客の関係じゃなくて、友達になりたい。
もっともっと神谷さんの事が知りたい。


高ぶってる気持ちを胸いっぱいに感じて家に帰った。
全て偶然だったけど、この偶然のおかげで神谷さんと距離が縮まった。
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