声にできない“アイシテル”

缶コーヒー  SIDE:チカ

 夕暮れ前の街中。

 私はとぼとぼと歩いている。



 呆然としすぎて、涙も出ない。

 何もする気力がない。
 
 食欲もない。


 だけど、何も食べないと体を壊すのが分かっていたから。

 こんな時こそ、何か口にしないと・・・。




 アパートの近くにあるコンビニに寄った。

 ぼんやりと店内を2周して、オレンジジュースとサンドイッチ。


 その他になんとなく目に付いたものを手に持ったかごに入れてゆく。




 重い足を引きずりながら、ようやくアパートに着いた。 

 
 リビングの真ん中においてある背の低い丸テーブルに荷物を置いて、ぺたんと床に座り込む。



 頭の中がフワフワとしていて、何にも考えられない。

 ひざを抱えて、背中を小さく丸めた。



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