声にできない“アイシテル”
14章 すれ違いの果てに待ち受けるもの

研究施設

 上田さんと別れた後にホテルへと戻り、これからどうするかを考えていた。


 チカが送った手紙の消印はカルフォルニアのD地域。

 偶然にも、そこには俺が資金援助を行っている研究チーム施設がある場所だ。


 彼らは“形成外科”を専門としている。

 事故や病気で失われた体の組織を元通りに、もしくはそれに近く復元する医学。


 2年前。

 俺は叔父さんと叔母さんがチカとの結婚を認めてくれる方法を探していた。


 ネックだったのは『声が出ないこと』だけ。

 その問題点さえクリアすれば、あの2人が俺達を反対する理由がなくなる。

 そして行き着いたのが形成外科だ。


 カルフォルニアの某チームは特に声帯に関する研究に力を入れていると知り、援助を始める。


 十分な研究費のおかげで、どうやら成果は確実に上がってきているらしい。

 横山から見せられたメールには、ようやく完成にこぎつけ、先日行なわれた学会で発表されたそうだ。


「研究の成果も気になるし。
 ちょっと寄ってみるか」

 俺は期待に胸を弾ませ、眠りについた。


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