声にできない“アイシテル”
「急なことで驚かれているでしょうが、時間がありません。
 一日でも早い処置が、チカちゃんの命を救います。
 今日はこのまま入院していただきますので」


 お母さんにそう言ってから内線電話を使って、先生がベッドの空きを確認する。


「小児科のベッドが空いてました。
 お母さんはご主人とこの事に付いてお話なさってください。
 また明日、改めてお会いしましょう」


 立ち上がった先生は私の頭をそっとなでる。

「大丈夫。
 手術をすれば何年だって生きられるからね」


 にっこり微笑まれたけれど、私は呆然としてしまって何か言うどころかうなずく事も出来なかった。







 そのまま小児科に行って、借りたパジャマに着替えて。

 ベッドに横になる。


 お母さんは入院の準備をするからと帰って行った。




 隣りのベッドとの仕切りのカーテンを閉めて、白い天井をぼんやりと眺めていたら涙がにじんできた。


―――声が出なくなるなんて、イヤだよっ!!



 涙は次々と溢れてくる。

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