絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
☆☆☆

朝食を終えて自分の定位置へ戻ると、ステージ上にスーツの男が現れていた。


3D映像は足音もなく突然現れるから、毎回ドキッとしてしまう。


男は体育館内にいる生徒たちへ視線を向けて、そして口を開いた。


「それでは今日も元気よく始めようか!」


今日は体育教師のような爽やかさのある挨拶だ。


それに反応を示す生徒はどこにもいないけれど、自分のキャラを変える事で自分が楽しんでいるようだ。


「記念すべき第10回の対戦相手は……石原みないVS松田咲枝VS八坂梅子VS守田彩美」


読み上げられていく名前に、体に電流が走ったような感覚がした。


「あや……み……?」


隣の彩美へと視線を向ける。


彩美は真っ青な顔をして今にも倒れてしまいそうだ。


ついに、彩美の名前が呼ばれてしまった。


いつか必ず呼ばれるとわかっていたけれど、いざ呼ばれると全く心の準備ができていなかったことに気が付いた。


「ど、どうしよう朱里……」
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