絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
13回目
翌朝。


目が覚めると頭が随分とスッキリしていた。


男に打たれた注射に睡眠薬でも入っていたのかもしれない。


少し不快感を覚えたが、最後のバトルを寝不足のまま迎えるよりはマシだった。


よく眠った朝は食欲もあって、パンを2つも食べてしまった。


昨日までは無理をして食べるような感じだったけれど、それも違う。


久しぶりに美味しいと感じられる朝食だった。


「彩美、おいしい?」


ゆっくりとパンを口に頬張っている彩美にそう聞いた。


彩美はニッコリと頬んで「うん」と頷く。


しかしすぐに不思議そうな表情に変わり「どうして朱里があたしの家にいるの?」と、聞いて来た。


今は朝だから、彩美は自宅で朝食を食べていると思い込んでいるみたいだ。


「昨日泊まったからだよ」


あたしはそう返事をしてほほ笑んだ。


彩美には可愛そうかもしれないが、このまま現実を見ないでバトルに挑んだ方が幸せかもしれない。


幸せな毎日に包まれた状態のまま死ねるのだから。


そう考えると、少しだけ胸が痛んだ。
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