絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
そう考えながら、あたしは自分の心臓が鋼のように打っているのを感じていた。


あたしの考えすぎだろうか?


男は単純に『A組の決着がつく』という言い方をしなかっただけかもしれない。


奴隷部屋を経験してきたあたしは、少し疑い過ぎているのかもしれない。


そう思うが、冷や汗が背中を流れて行くのを感じていた。


「13回目の対戦相手は……山田幸一VS木村星VS中村達哉VS原田大智」


男子たちの名前が呼ばれていき、初めて名前を呼ばれた木村君が勢いよく立ち上がった。


彼は中尾君と一緒にイジメられていた生徒だ。


「頑張れよ木村!」


中尾君が声をかけると、木村君は拳を突き上げて「おう!」と、返事をした。


ここまで笑顔を浮かべている木村君を見たのは初めてかもしれない。


昨日の夜にも呼ばれていた原田君は真っ青な顔をして部屋に入って行く。


立て続けのバトルになって、精神的にもつらい状況みたいだ。


だけど、この中で一番弱い存在は木村君ただ1人だ。


<mother>はイジメられっ子同士を戦わせるような設定にはしない。


イジメられっ子に1人勝させるためだ。


男たちが全員部屋に入れられ、煙が出てくる。
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