絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
「いつか酒本を見返すんだって、密かに筋トレしてたもんね」


亜弥ちゃんがそう言い、拍手をしている。


その復讐心がこんなところで役立つなんて、木村君は思ってもいなかっただろう。


やがて煙の効果が切れるが、その時にはすでに原田君と中村君は動かなくなっていた。


木村君と山田君が向き合う形で立っている。


2人とも血まみれで、誰の血がついているのかもわからない。


そんな中、先に動いたのは山田君だった。


スポーツをしている山田君は動きが早く、木村君をねじ伏せた。


不意をつかれた木村君だったけれど、彼はとても冷静だった。


仰向けのままねじ伏せられた状態から、山田君の下腹部に膝蹴りをしたのだ。


山田君の力が抜けると同時に、今度は木村君が馬乗りになりその首を絞めはじめた。


「勝つのは俺だ……」


木村君がそう言うと、中尾君と亜弥ちゃんが楽しそうに拍手をした。


木村君の指が首に食い込んでいき、その首から血が流れ出した。


爪で皮膚が切れたのだ。


それでも木村君は手の力を緩めなかった。


時折「ふざけんなよ」「俺の方が強いんだ」そんな言葉を呟きながら、白目をむいた山田君を見て笑う。


「集団にならないとなにもできない弱虫は、お前の方だ酒本!!!」


木村君はそう叫び、山田君の首に腕を回すとその首を思いっきりへし折ったのだった……。
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