絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
だけどただ1人、彩美だけは何かを感じ取ったようにあたしの手を握りしめて来た。


以前彩美を奴隷候補に選ぼうとしたとき、あたしは奴隷部屋について話をしている。


彩美はその事をしっかりと覚えていたようだ。


「といっても、突然クラスメートを殺害することは難しいものです。なのでこちらで特別な煙を用意しました」


その言葉にあたしはジッと男を見つめた。


「その箱の中に入ってすぐ、人間の理性を破壊していく効果のある煙を入れさせていただきます。相手が誰であろうと、自分の欲望が果たせるようになっています」


なるほど。


確実に相手を殺せるような仕掛けをちゃんと用意しているのだ。


普通ならクラスメートとの殺し合いなんて簡単にできるものじゃない。


だけど、部屋に入れられた人間から理性が消えてしまえば、それは簡単なものになってしまう。


だけど……あたしは周囲を見回した。


みんな混乱しているが、まだ男の言葉を信用していないのか笑い声も聞こえて来る。


中には欠伸をして眠そうにしている生徒もいる。
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