絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
イジメ
酒本君が山口君を攻撃したことで、体育館の雰囲気は大きく変わってきていた。


みんなでここから脱出しよう。


そんな気持ちが薄れ、誰かを落としいれようとする張りつめた空気が漂っている。


公恵と酒本君の2人はさっきから一緒にいて、時折クラスカースト下位の子たちをいじっては笑い声を上げていた。


生きるか死ぬかのゲームをさせられている時にイジメを持ち込むなんて、信じられない。


あたしは呆れてため息を吐き出した。


部屋の外でイジメればイジメるほど、部屋の中でパワーは強くなるかもしれないのに、あの2人はそんな事考えてもいないのだろう。


「嫌になるね」


彩美が2人を見てそう呟いた。


「うん。今はあんなことしてる場合じゃないのに」


あたしはそう答えた。


2人はオタク系の女子生徒をイジメ始めている。


長い髪を引っ張ったり、罵声を浴びせたり。


その程度の事をしても全く無意味だ。


やるなら相手の骨を折るくらいの事はしてほしい。


そうすればバトルの時に格段に有利になる。


あんな半端にイジメだだけじゃ、相手は憎しみを爆発させやすくなるだけだ。


酒本君も公恵も、なにもわかってない。
< 62 / 190 >

この作品をシェア

pagetop