絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
このまま酒本君が調子に乗ってくれれば、<mother>が殺してくれるかもしれない。


酒本君が死ねば公恵だって大人しくなるはずだ。


そう期待して様子を見ていたのだけれど、酒本君にはなんの異変も見て取れなかった。


抵抗しない山口君を見て調子に乗り、山口君の体を蹴り続ける酒本君。


それを見ている他の生徒たちも、みんな何も言わなかった。


これ以上面倒な事に巻き込まれたくないと思っているのかもしれない。


あたしは横倒しになったまま動かない山口君へ視線を向けた。


呼吸はまだちゃんとしているようだ。


だけどあれほど攻撃を受ければもう逆らう気力はなくなってしまうだろう。


山口君に好きなだけ暴行を加えた酒本君は、ようやく満足したように元の場所へと戻って行ったのだった。
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