絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
6回目
6度目のバトルが開始される直前、クラス内へと戻ってくると酒本君がカースト下位の生徒たちの昼ご飯をひっくり返している所だった。


床にぶちまけられた高級食材を踏みつけて、ゲラゲラと下品な笑い声を上げている。


その様子に顔をしかめながら、いつもと同じ場所に座った。


今日のバトルはこれで終わりだ。


名前を呼ばれない事を願い、大きく深呼吸をした。


「おや、昼間までとは様子が随分違いますね」


その声に顔を上げ、ステージを見た。


スーツの男が相変わらずニヤニヤと笑いながらそこに立っていた。


いつでも安全な場所で人を見下して笑っている男。


その姿を見るたびに、あたしは胸の奥から怒りがわいて来ていた。


奴隷部屋の最後のミッションをやり遂げた時、あの時にあたしの隣にいたのは本物の男だった。


直接触れる事ができる距離にいたのに、どうしてあたしはあの男を殺さなかったんだろう。


そう思い、奥歯をギリッとかみしめた。
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