絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
「よぉ、人殺しの加奈ちゃん」


酒本君がおかしそうにそう言った。


「ちょっと……」


止めようとするあたしを、加奈ちゃんが静止した。


あたしは驚いて加奈ちゃんを見る。



「いいの……本当の事だから……」


「そんなっ」


「朱里も彩美も見てたでしょ? あたしが……奈々子ちゃんを殺す所を」


そう言われて、あたしは何も言えなくなってしまった。


「ひっとごろし! ひっとごろし! ひっとごろし!」


どこからともなくそんな声が聞こえてきて、それはあっという間に広がって行く。


加奈ちゃんは下唇を噛みしめて俯いた。


普通のクラスメートたちも、今は強い人間についた方がいいと思ったのか、クスクスと笑い声を上げ始めている。


どうしてこんな事になってしまったんだろう?


酒本君に唾を吐きかけたのがいけなかったんだろうか?


あたしは頭の中でグルグルと考える。
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