CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~

-3-

その日、いつもより少しだけ早めに仕事が終わった私は、

家でゆっくりとお風呂に入った後、深夜の音楽番組を見ていた。

仕事の情報源にもなるので、音楽番組のチェックは欠かしたことはなかった。


ーーと、『では、今日の新バンドの紹介は、キールのみなさんです!』


テレビから聞こえた音声に、ふと目が吸い寄せられる。


Kirって、あの時の……と、記憶が蘇る。


思わず、どんな風にあの不機嫌そうな男は歌うんだろうと、好奇心が湧いた。


ーー画面に映るバンドは、全員がゴシック系の衣装に身を包み、赤い髪やプラチナシルバーや金髪の比較的派手なメンバーの中で、

ヴォーカルの彼だけは、黒一色のコスチュームに黒い髪のトップをソフトに立たせた、ややおとなしめなスタイルで、他とは一線を画しているようにも見えた。


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