CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~

「アヤ、俺の新曲、聴いてくれた?」

「あっ…ごめん。ちょっと忙しくて、まだ聴いてなくて……」

謝ると、私の部屋で寛いでいたキリトが、途端に不機嫌そうな顔つきになって、

「……せっかく、サンプルCD渡したのに……アヤに、一番に聴いてほしかったのに……」

と、拗ねたように言って、そっぽを向いた。


「……もう、怒らないでよ…キリト……悪かったってば……」

彼の機嫌を取ろうと、顔を覗き込むと、

「怒ってないから……アヤ、騙されただろ?」

と、笑顔になった。


彼は、以前に比べると、本当によく笑うようになったと思った。

Kirにいた頃には、シュウたちメンバーとの確執から、精神的にも抑圧されて、笑顔さえも奪われていたんだと感じた。


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