CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~
「え…気づいてないの…?」
私のことを指摘するぐらいだから、彼の方もわかっているのだろうと思っていた。
でも、本当に彼は自分のそんな一面に気づいてなかったみたいで、
「そんなつもりは、別にない…」
とだけ言って、スッと視線を外した。
「自覚…なかったんだ…」
彼は、ストレートな言い方をわざとして、周りを遠ざけているようにも感じていて、なんだか思っていた印象と違う気もした。
「自覚する必要が、あるのか…?」
コーヒーを一口含んで、彼が、私にそう訊いてきた。
飲んだコーヒーで、彼の唇が、しっとりと濡れて潤っている。
「うん…必要があるっていうか……」
言いかけて、ためらっていると、
「言いたいことがあるなら、言えよ」
と、キリトはタバコを取り出して咥えた。