CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~
「……だけど、売れたいとかモテたいとか思って、バンドやってる人も多いのにね…」

歌いたいだけだと言う彼の考えが、今時っぽくもなくて単純に不思議に感じた。

すると、キリトは睨みつけるように私を見て、

「……そういう、凝り固まったイメージみたいので話すの、やめてもらえるか…」

と、露骨に嫌そうな顔をした。


本気で睨む彼の瞳に、取材の中で勝手に作り上げた固定観念が、すっかりしみついてもしまっていることに、今さら気づかされた。


「そうだよね…ごめんなさい。自分勝手なイメージでしかないよね…」


彼に悪かったと思い謝ると、


「あんた…なんでも直球なんだな。思ったことそのまま言ったり、そうやって謝ってみたり…」


「直球って言えば、キリトも……」


またしても漏れる心の声に、あわてて自分の口をおさえると、


「俺が?」


と、キリトが丸く大きな黒い瞳を、さらに見開いた。


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