CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~

-2-


「……やめたいって、だけど、どうして……?」


Kirは、今が一番売れている時のはずだった。


「嫌なんだ…もう。バンドとしてやっていくのが……」


言って、キリトが顔を両手で覆った。


いつもの強気さが少しも見られない彼は、雨に濡れる子犬みたいにあまりにもか弱い存在にも感じられて、

思わず手を伸ばして、肩をそっと抱いた。


「ごめん…つまらないことを言って…。

あんたに、こんなことを言っても、仕方がないのに…」


「ううん、そんなことない」と、首を振る。

「力になるから…できる限り」抱きしめた肩に、ギュッと力を込めて、

「だから、大丈夫だから…」と、励ますように口にした。

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