恋の処方箋SOS
龍太郎は少し考えてから再び言う
「触って抱きしめたらおまえを壊しそうで怖かった
まあいいやそんなこと俺とつきあってくれませんか?」
大好きでも愛してるでもないきっと龍太郎なりの精一杯の表現
私はつい笑ってしまった
「うん」
「笑うなよ」
「だって龍太郎があまりに一生懸命だから」
「つかいつから好きだったんだよ?」
いつから?病院で出会ったとき?
私はしばらく悩んでから言った
「わかんない」
「はあ?」
「お姉ちゃん呼んでほしいんだけど」
「おまえが俺を選んだこと後悔させてやる」
「肉屋の店主にでもなる?」
「おまえがナースになって俺にこきつかわれるんだよ」
それもわるくないかなと思いつつ受け流した
するとお姉ちゃんがタイミングよく入ってきた
「杏子、気持ちは決まったみたいねお姉ちゃんはなにも言わない杏子が決めたんだからだけどちゃんと自分の口で言いなよ」
「うん」
俺は一通り病状説明をして病室を出ようとした
「龍太郎」
杏子におもいっきり手を引っ張られ俺はバランスを崩した
唇が互いに触れる寸前
俺はゆっくり唇を重ねた
だってそうしたほうが自然だから杏子が手を伸ばして眼鏡を外してベッドサイドに置いた
もっと深くつながりたい、キスはしだいにお互いを貪っていた
息をするのさえ躊躇う長く深いキス
それを遮るかのように携帯が鳴る
舌打ちしつつ俺は対応する
「比嘉先生どこにいるんですか早く降りてきてください」
「はいはい」
端末を切りながら杏子に言う
「おとなしくしとくんだぞお姫様」
「比嘉先生をもっと独占できたらいいのに」
わがままが叶わないことはわかっていたが名残惜しい
ひらひら手を振る龍太郎に私はベッドから小さく手を降った
「ハロー?ご機嫌いかが?」
顔をだしたのは確か白石さんだっけ?龍太郎が言っていた
「ええまあ」
「君が入院してるってきいてとんできてあげたよ
退屈だろ?少し話でもって僕は精神科医なんだよろしく
君がずいぶん惚れ込んでる比嘉先生、気を付けなよ?」
白石先生はそういうと写真をテーブルに散らかした
それはぜんぶ龍太郎でキスやそれ以上の行為をしてるものもある
「ウソでしょこんなの」
「ウソじゃないよいま比嘉先生が担当している車イスの女の子
彼女だよ」
壊れちゃえ比嘉龍太郎の大切なものなんてみんな壊れちゃえ
「ウソ」
「信じられない?僕の言葉だけが真実なのに」
人が来ないことを確認してついと彼女の細い顎を上に向かせ優しくキスをした

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