黒胡椒もお砂糖も
ううーん、そういわれれば、確かに。
マシンガンのように話したりはしないけれど、私もあまり間を取るのは得意じゃない。
「それか、どうにか商品を判ってもらおうと必死になる為に、色々言い過ぎてしまったりとか」
陶子の言葉に平林さんがのんびりと頷いた。
「そうです。高田の場合は、完全に沈黙しますよ。相手が喋るまで、何も言いません。ずっと待つ。メリットが残るように仕掛けはした。後は客が頭の中で気が済むまで咀嚼して、決断してくれるのを待つだけだって、言ってました」
・・・確かに、それは怖いな。私が出来るとは思えない。よっぽど設計に自信があるか、今月はもう十分な成績を確保しているって時しかそんな余裕は生まれそうにない。
そして、そんな状況は今まで私には無かった。
平林さんは続ける。
「間に弱いのは客も同じなんだよ、尾崎さん。黙って座っているってことに、彼等が先に耐え切れなくなる。質問がある人は高田に聞くけれど、何を質問していいのかすら判ってない客もいる。だけどどうやらこれはいいものらしい。そして、聞くんだ」
――――――これ、どうしたらいいんですか?って。
「・・・お客さんから?」
「そう、あっちから。だから高田は契約書を出す」
――――――こちらに記入をお願いします。
平林さんはまた大きく笑った。
「契約成立」
私は一度口をあけてから閉め、それからまた開けて言った。
「・・・わお」
後ろで陶子が小さく拍手した。