雨の夜
2日前…
雨が続く梅雨の時期、雨月(うづき)は、家の窓辺でため息をついていた___

「あ〜あ、雨止んでくれないかなぁ…」

その様子を見ていた、近くの椅子に座っている雨月のお婆ちゃん

「雨月、そんなにため息をついてどうしたんだい?」

雨月は、お婆ちゃんなら知っているかもと、向かいの椅子に腰掛けて質問をしてみたのでした

「ねぇ、お婆ちゃん。明後日、夏祭りがあるのを知ってる?」

「明後日?…あぁ、土曜日の夜に西の街の方である大きな祭りのことかい?」

「うん!友達と行く約束してるんだ♪」

「そりゃあ、楽しんでおいで。」

「うん…でも、雨が続くのに土曜日だけ晴れてくれるかな?」

「梅雨の時期だからねぇ、それは難しいだろうねぇ。」

「そんな…」

「あぁ、でもあの子達を作ったら晴れるかもだねぇ」

お婆ちゃんは、雨月の言葉を遮りそんなことを言った

「あの子…達?ねぇ、お婆ちゃん、あの子達って、誰?」

「ふふっ、雨月や。雨の日、晴れるように願うものは何がある?」

突然の質問に戸惑う雨月だったが、すぐに答えを見つけて言った

「え?…あ、てるてる坊主!!」

「正解、てるてる坊主なら願いを叶えてくれるかもだねぇ。」

「私、てるてる坊主作ってくる!!」

雨月がてるてる坊主を作ろうと立ち上がった時にお婆ちゃんに止められた

「まあまあ待ちなさい。話はおわってないよ?」

「えー?だって、2日前なんだよ?時間が…」

「時間がないなら、さっさと作って願う…って、ことは無いよねえ?雨月?」

図星だった雨月は、顔を引き攣らせた

「えーと…」

「まぁ、話の続きをしようかねえ。てるてる坊主の作り方は知ってるかい?」

「え?ティッシュに丸めたティッシュを入れて包んで顔を書いて、紐でぶら下げる…じゃないの?」

「それじゃあ晴れないよ。」

「エーー!!」

「晴れるようにする作り方を教えてあげるからちゃんと聞いておくんだよ?」

「うん!」

そう言ってお婆ちゃんは、棚から四角い布とティッシュと紙とペンと鋏を持って机に置いた、そして、近くに雨月を呼んで座るように促した。

「雨月や、色んなモールかリボン持ってないかい?」

「?あるけど…」

「使わないならここにそれらを持っておいで?」

「?わかったー」

「これでいい?お婆ちゃん。」

雨月は、部屋からカラフルなリボンを沢山持ってきて座った

「これだけあれば大丈夫だねぇ」

「手伝うことある?」

「沢山あるとも、まず幾つ作りたいかい?」

「んー、10個!」

「じゃあ、好きな色の布を10枚お選び。」

「じゃあ…これとこれとこれと……はい!10枚えらんだよ!」

「次は、ティッシュを5枚お取り。そしてティッシュを2枚で1枚だから、1枚ずつにしなさいな」

「?わかったー。分けたら広げておくの?丸めるの?」

「広げておきなさい。まず、小さな短冊をかたどった紙に願いを書きなさいな」
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