オフィスの野獣と巻き込まれOL
「美帆……君への気持ちはずっと変わってない」

「うん」私は、目を逸らさずに、真っすぐに彼を見た。

「だから……
会えなくなるなんて、いやだ」

「今まで通りじゃダメよ。
これからは、義彦君と会う時は、仕事がらみじゃないと会わない」

「それじゃあ、厳しすぎるだろう。僕は、君に、会いたいときに会いたい」

「無理よ。義彦君、私への態度を変えられないんだもの」

彼は、しばらく考えていた。

顎に手を添え、うつむき加減に下を向く。

「仕事がらみなら、いいのか?」義彦君が、うつむいたまま声に出す。

「どういう事?」

義彦君は、私の質問には答えず、にこっと笑った。

まるで、絶対に譲らないって決心したみたいに笑う。


「美帆、お腹すいてるだろう?」

義彦君が先に歩き出した。

広いロビーを、突っ切って歩いていく。


このホテルは、キモと最初に待ち合わせしたホテルだった。

義彦君は、行き先を決めてしまっているみたいに、エレベーターの前まで歩いて行った。

「上でいいよね?」

古いホテルで客室も最近出来た、新しい豪華なホテルには及ばないけれど、レストランはとても評判が良かった。

義彦君は、私をエレベータに乗るように促した。

「食事、美味しかっただろう?」

この人は、まだ、私に何かさせるつもりだろうか?

「ここのフレンチは、本当にやみつきになる」

レストランの入り口をくぐった。
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