オフィスの野獣と巻き込まれOL
義彦君から聞いた話を山科君にするまで、二日ほど考えた。

どう考えても、私の事で彼を巻き込んでしまった。でも、4月はもうそこまでやって来ている。

直接人事異動のことを、発表を見て彼が知るのは良くないと思って、覚悟を決めた。

よし!っと 意を決して話したのに。

思いもよらない反応が返って来て、面食らった。


「マジで?やった!」山科君の声が会議室に響く。

なぜか、彼は信じられないことに。
それ、ガッツポーズって言うんじゃいのってくらい、こぶしを高くあげている。

「山科君ってさあ、もしかして、堀川さんのところで働きたかったの?」
山科君は、何をいまさら?っていう視線を返してきた。

「そりゃあ働きたいさ。ずっと考えてたことだから。
すぐにでも異動したいよ。堀川課長の下なら、言われたことをするだけじゃない。
課長に提案してみたいことが色々ある」

「じゃあ、山科君一人で行けば、それで十分じゃないの」

山科君と違って、私は何もできる気がしない。

きっと、私はキモの顔を一日中眺めて、彼に、「ウザい」って言われるために会社に行くのだろう。

「ダメだよ。君が言う通り、専務サイドの情報が入らないと状況がつかめない」

山科君が、私を励ますように言う。

「面倒くさいな」

「どうして。万事が君の思い道理じゃないか。
それに、面白そうだって言ったのは、君だよ」
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