オフィスの野獣と巻き込まれOL
「あの子が私の手から離れて行ったのは、本当に小さかったの。まだこんなんだった」

ママが手で高さを作って見せてくれた。

「履いてた靴も小さかったな。まだよく覚えてる」

懐かしそうに言う。

「あの子がお腹に宿って、社長にも、誰にも公にするつもりはなかったの。
ずっと内緒にしてたんだけど。

ある時、どこかから、武子夫人に知られて、とうとう白状させられてしまったの」

ママは、一呼吸置いてから、また話し出した。

「武子さんに祐一の将来のために、
外国で教育させるって聞かされた時は、泣いて抵抗したのよ。

今考えると、それでよかったのかなあ。

女手一つで、とてもできないような経験をさせてもらって。

あんなに立派な青年になって。

生きててくれるだけでいいと、思うようにしたの」

淑子ママは、若い男の子が店に来ると必要以上に心配してた。

常連客でもない男の子に、頼んでもいない食事を出した。

お酒に弱いと思ったら、アルコールの入ってない飲み物を、接待相手に分からないように出してあげていた。
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