オフィスの野獣と巻き込まれOL
その時は、単純に若い男の子が好きなんだと思っていた。

ママが気にしていたのは、自分の息子と同年配の男の子だった。

ちょうど社会人になりたての、必死で頑張ってる子に弱かった。

心配してたのは、男の子だけじゃない。

見ず知らずの私にだって、立場を超えて親身になって相談に乗ってくれた。

私が就職を諦めようとしたとき、

『ちゃんとした会社に就職しなさい』と背中を押してくれたのもママだった。

ママの、そばは暖かくて心地よい。

「ママ、私ここで働こうかな」

「何、言ってるの。仕事なんて、いくらでもあるでしょう?」

「うん」

「美帆ちゃん、あなた会社辞めるつもりり?」

「辞めたくないよ。
でも、自分のしたこと考えると、平然としていられない。

私のした事で、会社を辞めなくてはいけない人がいると言うのに」

ママは、優しく私を諭すように言う。

「美帆は、今まで誰も傷つけないで生きてたって言える?」

「ええっ?」

「人間、生きていくうえで、
ただの一度も人を傷つけたことがない人なんて、この世の中にいないはずよ」

「そうだけど」
< 302 / 349 >

この作品をシェア

pagetop