オフィスの野獣と巻き込まれOL
「なあ、どうしたらわかってくれる?

キスしていい?

ずいぶん久しぶりになっちゃったし」

「ええ」

気持ちが伝わってくるキスだった。

私だって、何をするのでも彼と一緒がいい。

キスの途中で、はたと目が合った。


「美帆、そんなに心配なら、今、すぐにでも子供を作ればいい」

「何、言ってるの?」

「ガキが3人も4人もいてみろ。そんなこと考える暇はない」

「そんなに単純な問題じゃ……」

祐一さんが、足元にかがみこんだ。

ふわっと体が浮いていた。

私は、彼の腕の中にいた。

筋肉質な体が、しっかりと私の体を抱いている。

安心して任せていられた。

彼は、私を首につかまらせて、隣の部屋に通じるドアを開けた。

ガランとした部屋に、特別大きなベッドが置かれている。

「単純な問題だ。

好きな女抱いて子供ができて、妻と子供を食わせていく。

すごくシンプルなことだ。だから、余計なことごちゃごちゃ考えるな」

「祐一さん」私も素直に、彼に腕を回す。

ベッドに体を横たえて、お互いに見つめ合った。

「だから、頼むから

ここから出ていくなんて言わないでくれ。

好きなんだ」



「それで?」



「好きなんだ。ラーメンと同じレベル?」



「言わなきゃダメ?」



「ん」


「君が断らないって保証があったら、言ってもいい」


[往生際がわるいわね」


「じゃあ、一回だけだぞ」


「はい」


「愛してる。結婚してくれ」



【END】



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