オフィスの野獣と巻き込まれOL

「見たかったのは、これじゃないのか?」

私が探していた伝票の場所を開いて、キモは指をさしていた。

さすが経理マン。すぐさま伝票を見つけた。


尻もちついて、痛い思いをしている私をしり目に落ち着いてる。

転んでるんだから、手ぐらいかしてくればいいのに。

それは、いいんだけど。

このまま、帰されては、元も子もない。

ここまでした意味がない。


キモの方が断然体が大きい。体当たりしても効果がない。どうしよう。

私は、キモからファイルを奪うことはあきらめて、別の方法を考えようか。

別の方法って何?

例えば、キモが帰るまで、どこかに隠れていようとか。


キモは、私のことなどまるで無視して、自分の携帯を取り出していた。

その携帯で、メモしてあったすべての伝票の写真を撮った。

全部取り終わると、私に向かって言った。

「コピー取りたいんだろう?これ持って行け」

「いいんですか?」私は、彼が写真に収めた伝票の原本を渡してくれた。

敵に助けてもらうなんて。とてもスパイにはなれないけど。
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