可愛い人。
え!?
ちょっと待って!!
「や、山崎くんっ……!」
彼を呼び止めた私ッ!!
すると山崎くんも反応してくれて、ピタッと歩みを止めてくれた!
!!!
し、しまった!!
焦ってつい呼び止めちゃったけれど、なんて言おう??!
無意識とはいえ、自分の今の大胆な行動に戸惑ってしまう…!
苦手な山崎くんを相手に大声を出した自分がなんとも不思議でならなかったのだ。
どうしよう?!
どうしたら……!
山崎くんは背中を向けて私の言葉を待ってくれている…。
ふと彼の足元を見ると、さっきまで書いていた日誌が落ちていた。
やっぱり山崎くん、私の代わりに日誌書いてくれてたんだ……!
「…………あ…の、……日誌……どうもありがとう…!」
自然と弾んだ声が出てしまった。
すると。
「……べつに。」
と、彼は一言そう溢すと、
ドカッとさっきまで座っていた席にまた着座した!!
え!!?
も、戻ってきた!?
山崎くんは日誌を今度は私の机の上に広げると、体の向きを私の真正面に向けてきた!!!
「ほら。早く終わらせるぞ。」
…………………えっ?!
机に肘をついて、私が声をかける前の調子でさらさらとペンを走らせる。
ちちちち近いっっ!!!
近すぎるよっ!!!
さっきよりも山崎くんとの距離が断然縮まってしまい、パニックになってしまう!!
その時、チラッと山崎くんが視線だけ私に向けてきた!!
「……っ!」
その視線だけで私はシャキンと背筋が一気に伸び、指先もピンと痛いほど真っ直ぐに伸びる…!
わっ!わっ!わっ!!
そんな意味不明の叫び声を心の中であげていると、山崎くんはすぐにまた視線を戻して素知らぬ顔で書いていく…。
し、心臓が壊れそう……!!!
こんな事態になるなんて想像もしていなかったため、意識が飛びそうになるのを必死にこらえていたのだった。